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大アルカナのカード:【XVIII月】

今回のトピックは「大アルカナのカード:【XVIII月】」です。

インタビュアー)今回は、前回「三枚のオカルト系カード」と指摘されたうちの二枚目の、【XVIII月】を取り上げます。
他の二枚と比べ、オカルト色が最も強いという印象です。「お月さん、一体何を企んでいるんだろうか」と怯んでしまいそうです。

中川)そう、緊張感を与えがちなカードですね。まったくの誤解なんですけど。
前回のインタビューで触れた通り、タロットにおけるオカルトは身構える必要があるものではなく、不可思議な経験という捉え方で十分と考えます。
あり得ないような共時性とか、常識では見えないはず聞こえないはずのものが見えたり聞こえたりするようなことは、誰しも人生一回や二回くらい経験していると思うのです。そうですよね?
実害はありませんから、疑ったり抵抗しようとしたりしないで、素直に受け止めて欲しいです。

 

インタビュアー)【XVIII月】のテーマとして、ウィキぺディアに「自らが導く、未だに見えざる真実への道程、それを辿ることの困難」と書かれています。

他様々なサイトも含めてあげると、正位置の解釈は、不安、不安定、幻惑、現実逃避、潜在する危機、欺瞞、洗脳、トラウマ、フラッシュバック、憂鬱、迷い、誤解、将来が見通せない、実態が見えていないものに怯える、とあります。
逆位置は、失敗にならない過ち、過去からの脱却、徐々に好転、漠然とした未来への希望、優れた直感、不安や誤解の解消、問題に光が射す、不安、期待が外れる、不信、自信喪失、自己完結、自意識過剰、心配無用、夜明けの始まりといったあたりです。

中川)正位置の解釈の、「実態が見えていないものに怯える」には大いに賛同しますが、洗脳、トラウマ、フラッシュバックは時と場合によります。
ウィキぺディアが「未だに見えざる」と述べているように、【XVIII月】が抱える要素は具体的な現象ではなく、もやもやとした実態が無いものです。
設定が夜ですよね。夜なのだから、何もはっきりとは見えなくても仕方がない。
逆位置の解釈は僕の考えと概ね同じで、物事は好ましい方向に進んで行くと捉えます。
占いの場で鍵のポジションでは、「不安は杞憂、インスピレーションに従いなさい」と読みます。

 

インタビュアー)先生はこのカードを「漠然とした不安」というキーワードとして述べられます。「夜が深まった時に抱く恐れ」で、正位置逆位置とも実害は無い。

中川)それで結構です。
不安が実態を伴うものであるのなら、【XIII悪魔】が示すはずです。


実際に失敗が起こるのなら、【ソード9】、【ソード3】あたりが警告します。

【XIII悪魔】の状況では、鎖を断ち切らなきゃいけないけれど、とりあえず現状維持という、動けないのだったら足を止めていてもまあ良いよ、という選択肢があります。
一方、【XVIII月】は不安でも何でも前進していかなきゃいけないカード。

 

インタビュアー)怖くても前進していかなきゃいけないんですか・・・。

中川)実害は無いんだから。【XVIII月】が示す不安は、自分が作り上げた産物と呼べばわかりやすいかな。

 

インタビュアー)絵柄の説明に進みます。「水の中から目覚めた自意識が、山頂(精神性の高いところ)を目指す」という解説を見つけました。
ザリガニ→自分の中で無意識に湧き上がって来るもの
水→無意識
月→本能
横顔→見えていない面がある
狼と犬→正体がわからない不安
石の門→心の内外の分かれ目
黄色い粒→鬼火とも希望の光とも
人物が描かれていない→孤独
ザリガニは途方に暮れていますよね?せっかく水から這い出て、高みを目指そうと意気込んだのに、「狼と犬の間を突破しなきゃ、俺に未来は無いのかよ」って。サイズの違いひとつとっても、あんまりです。ここをアニメ化すると、たじたじ系のマークが多々くっつきそうです。

中川)そうね、ザリガニはかなり焦っているでしょうね。繰り返すけど、それでも行かなきゃいけないんです(苦笑)。
しかも【XVIII月】は遠くから見守るだけで、【ペンタクル3】のように手を差し伸べてくれません。

ザリガニは天涯孤独です。月の光だけで浮かび上がるこの道を進むのが正しいのだと、ろくに見えないまま信じて進むしかない。

 

インタビュアー)ここで(占いの)鍵として、「インスピレーション」という語が登場するのですね?

中川)確証はない。根拠を証明するものもない。直感に頼るしかない。
インスピレーションは【II女教皇】も持っています。こちらは霊的な直感力。【XVIII月】のは動物的というか本能的な直感力。危険を察知するのは後者です。
都会の人々のほとんどは、街の灯りがまったくないところを歩くという経験をしたことがありませんよね。
それってとても心細いんです。月夜というのは、そういう怖さが確実に存在します。

 

インタビュアー)夜が明けてさえくれれば、確実に孤独感が緩和されますね?カードの逆位置は「夜明けは間近」と告げます。

中川)空が明るくなれば周囲が良く見えて、障害物を避けて歩く方法がわかってくる。待ち構えているはずの狼や犬は、実際には存在しないのかもしれない。想像していたものより、はるかに小さいのかもしれない。
足もとは荒野とばかり思い込んでいたのに、【XIV節制】に描かれているような、色彩鮮やかな風景が広がっているのかもしれない。
見比べてみてください。【XVIII月】と【XIV節制】の風景は似ているでしょ。僕はそうイメージします。

2021年10月22日 秋葉原マクトゥーブにて

 

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