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大アルカナのカード:【XVI塔】

 

今回のトピックは「大アルカナのカード:【XVI塔】」です。

インタビュアー)前回取り上げた【XV悪魔】と並ぶ「タロットカードの二大嫌われカード」、【XVI塔】の登場です。

中川)言い訳のしようのない、救いのない絵ですよね。占いでこの絵を見つけて、冷静でいられる相談者はいないでしょう。落ち着くよう諭されても難しい。「再生」「破壊の後に新たな未来がある」といった、ポジティブな解釈もあるにはあるんですけどね。

 

インタビュアー)「再生」を感じさせるとは、【XIII死】のカードと類似していると捉えて良いでしょうか?「絵柄はちっとも希望を感じさせないのに」という点も一緒ですし。

中川)類似していると考えて良いです。【XIII死】には、草とか木の芽とか太陽とか、希望を暗示させるシンボルが描かれているけれど、骸骨に目を奪われてしまうから、細かいところまで気がつきませんよね。
その点、【XVI塔】には、希望とか再生を暗示させるシンボルはまったくないなあ(苦笑)。

 

インタビュアー)ウィキペディアを検索すると、正位置の解釈は、破壊、破滅、悲劇、惨事、戦意喪失、記憶喪失、被害妄想、トラウマ、自己破壊、洗脳、意識過剰、自傷行為、と述べています。

逆位置は、緊迫、突然のアクシデント、必要悪、誤解、不幸、無念、屈辱、天変地異といったあたりです。

そして「正位置逆位置共に凶」と位置付けていながらも、解放、改革といったポジティブなケースもあることはある、と結論づけています。

他のサイトの解説も似たようなものですが、逆位置の解釈は、再生、改革、解放、再建、再出発、「破壊から新たな道が拓ける」といった、ウィキペディアと比べてより肯定的です。

そして「突然の変化」という文言を見つけました。先生は【XVI塔】を「突然の大変化」と読まれますね?

中川)僕も逆位置は、事態が良くなるという読み方もします。「塔が壊れて一旦更地になって、その後再建される」という流れ。

それから、正位置逆位置両方とも「突然」という点を強調します。カードに描かれているのは、雷が塔を壊している絵ですよね。これは突然の出来事以外の何物でもない。

「かみなり」とは「神が鳴る・成る」で、人智を超えた力が働くわけで、逆らいようはないということ。

 

インタビュアー)先生は、【XVI塔】がつかさどる破壊には痛みを伴うこともある、とおっしゃいます。

中川)ここがこのカードのつらいところです。さっき類似していると言った【XIII死】は痛みとは無縁なのだけど。

ここでの再生や再建は「元通りに戻る」ではありません。「痛みを感じ、乗り越え、今までとは違う新たなものを築く」と理解してもらいたいです。どこが痛みのもとなのか、再建可能かどうかといった点は、占いで出たカード全部を分析することで明らかにします。

他に痛みを感じさせるカードとして【ソード3】と【ソード10】をあげますが、これらには突然といったスピード感はありません。

痛みに関連しておまけの話をすると、【XVI塔】は「突然の大変化」ですから、緊急手術という事態の時にも出てきます。

 

インタビュアー)またしても不安ですね。その延長上で、死を意味することは?

中川)死は日常レベルで派生する行為ですから、暗示するカードは大アルカナではなく小アルカナです。絵がおっかないからといって、【XVI塔】と死を結びつけるのは正しくないから、落ち込まないように。

 

インタビュアー)そのおっかない絵柄の説明をお願いします。

中川)落ちて行くのは物欲に駆られた人間たち。王冠はプライドとか思い込み。塔は旧約聖書に書かれているバベルの塔。火は利己的な感性を燃やし尽くして清めるもの。下の方のギザギザした部分は、既に壊れかけている塔の台座。
背景は真っ黒で、まったく希望は感じられない。塔が修復不可能なのは明らかです。

 

インタビュアー)【XVI塔】が壊わすのは、物質的なもの環境的なものだけでなく、心の内に潜むものも含むのですね?

中川)精神的なもの、価値観や信頼といったものも含みます。それらが壊れてしまえば、当然ながら痛みは非常に大きいですね。占って結論に正位置で出たら、再建は不可能と捉えるべきでしょう。
逆位置であれば、事態の再建が期待出来るケースもあるけれど、必ずそうなるとの約束はない。このあたり、占い師はわかりやすいたとえを使って、相談者をきちんと理解させる必要があります。

 

インタビュアー)最近の例だと・・・・雨上がり決死隊の解散宣言とか?

中川)そうそう。二人の間の信頼も価値観も、すっかり壊れてしまったみたいだものね。

蛍原さんの心の内は「修復不可能」。カードで表すと【XVI塔】正位置。彼より楽観的な宮迫さんは「再建の可能性はゼロではない」と願っていて、カード的には【XVI塔】逆位置だったんじゃないかな。
自然消滅という曖昧さを望まなかった蛍原さんが解散で更地にしたという印象です。

今このインタビューを行っている時点で、国内のコロナの感染がほぼ制御不能になっています。突然降って湧いたコロナウィルスは、【XVI塔】そのもので、僕も心が痛みます。
この困難を乗り越えた後は、新たな秩序が確立された世の中になって欲しい。そうなることを祈るばかりです。

2021年8月21日 秋葉原マクトゥーブにて

 

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