旅
インタビュアー)「不要不急の外出は控える」という時節ではありますが(新型コロナウィルス流行中)、旅について伺います。まず始めに、修学旅行の思い出から。
中川) 旅行しづらいこの時期に旅の話ですか!
中学の修学旅行は日光でしたね。一泊だったか二泊だったか。東照宮とか行ったはずだけど、何も覚えていません(苦笑)。ただズルズルと過ごしてたんでしょうね。高校は京都。日光も京都も、五十数年前は千葉の学校の定番の行き先でした。
高校の修学旅行の思い出はちょっとはあるけど、言いたくない(爆笑)。
インタビュアー)高校卒業後をきっかけに、放浪の旅に突入でしたっけ?
中川) 最初は国内を放浪していました。南は竹富島から北は稚内、利尻島や礼文島までぶらぶら、ぶらぶら。一ヶ月くらいせっせと働いて、お金を貯めちゃあ費うという、そんな暮らし方が出来た高度成長期って、いい時代でしたね。
ちょっとした大都市に行けば、倉庫の整理とかサウナの掃除とか、宿付き賄い付きの仕事はいくらもすぐ見つかりました。銭湯も、そこいら中にあったし、生活に困ることはなかった。
インタビュアー) 最も気に入った土地は?
中川) 北海道かな。北海道は広くて気持ちよかったですね。雪深い時期にいたんだけど、暖房がちゃんとしていたし、食べ物がとても美味しかったし。でも定住はしなかったですね。五、六年、日本中をふらふらしていたら、海外に行きたくなりました。
インタビュアー) それで海外へ。
中川) 初めて行ったのはタイ。暑かった。参りました。
あの頃のバンコクは格安航空券の本場だったので、放浪者はまずバンコクからというのが主流でしたね。それでインドのカルカッタに到着して、その後はインドの各地を放浪。手持ちのお金が尽きると日本に戻って稼いで、それなりの額が貯まるとまたインドへ戻る、を繰り返しました。
食べ物は何でも大丈夫です。低予算でインドに暮らすとは、毎日朝から三食カレーを食べることなんですけど、まったく平気でした。
インタビュアー)帰国して落ち着いた後の、旅の経験は?
中川) 新婚旅行で韓国に行って、しばらく海外旅行はしない時期があって、その後はカリフォルニアとかベトナム、極寒のハバロフスク。そして先月のハワイ。国内はあちこちいろいろ行ってます。
一人旅は好きで今もしますが、女房と二人で行くこともあります。海外は必ず一緒です。
お水取りは一人で行きます。泊まりがけで行くこともありますが、仕事の一部だから旅行気分とは言い切れない。
◯日目にどの観光名所へと計画を立ててというより、足の向くままというか、行き当たりばったりの旅がずっと好きで、女房には嫌がられていました(苦笑)。
けれど、先日ハワイへ行った時は、下調べして何々を見よう、海亀とか夕陽とか、といった準備もしましたね。
インタビュアー)なぜゆえの心境の変化でしたか?
中川) 何だろう、行き当たりばったりの旅に飽きたのかな。計画することが斬新なのかな(苦笑)。
インタビュアー) 今後の行き先として検討しているところは?
中川) カナダのバンクーバーに行ってみたい。山の景色が素晴らしいらしいですものね。
それから、モロッコのバザール。これは「アルケミスト」(小説・パウロ・コエーリョ著)の影響です。あの世界を感じてみたい。
人生を旅に例えるということを、60歳をゆうに過ぎてやっと実感できるようになりました。計画を立てることや計画に沿って生きることの楽しさも、わかってきました。
占い師には人の気持ちを理解するという能力が必須で、それには文化の違いを体感するといったことも含め。多種多様な経験が必要だから、旅をすることは結構大切なことと思っています。
2020年2月26日 秋葉原マクトゥーブにて