気がついたら70年生きていた

今回のお題は「気がついたら70年生きていた」です。

インタビュアー）先月、先生は体調不良で休養を強いられていましたが、その間、70回目の誕生日を迎えられました。

中川）「気がついたら70年生きていた」という感じ（爆笑）。本当に類稀なれなる70年。まさかこんなに生きるとは、思ってもいませんでした。

 

インタビュアー）先生が誕生された1953年は、進駐軍日本撤退の翌年で、NHKによるテレビ初放送、映画「ローマの休日」封切、エリザベスII世英国女王戴冠、といった出来事で世間が湧きました。宮崎駿監督によると、「となりのトトロ」の物語は、この年を想定しているそうです。同い年生まれに、俳優松平健、ジーコ元サッカー日本代表監督、格闘家ハルクホーガンがいます。

中川）60になった時は達成感みたいのがあったけど、70となると、ここまで来たのは自分の力だけでない、と感じます。

 

インタビュアー）還暦を前に先生は奥様から「これからは人のために生きなさい」と諭されたと、度々ブログに書かれています。占い師は人を助ける仕事だから、その言葉を忠実に守られていると言えますね。

中川）僕の占いが人助けになっていればいいなと思いますけど。続けられているから、多少はなっているのかな。

 

インタビュアー）誕生から今までをざっくり振り返ります。転校の連続で苦労いっぱいの学生生活を終えて、ぐっちゃぐっちゃのドロドロの青年期を経て（爆笑）、正業に就いて結婚して、ある日、誰もいないのに耳元で「占い師」という謎の囁きを聞き、占い師に転身された。なかなか劇的な展開です。

中川）夫婦で古着屋をやっていて一時はものすごく順調だったんだけど、段々下火になって来て、50になる少し前くらいに、このまま続けるのは難しい、どうしようと考え込んでいたところに「声」が降ってきて、その言葉通りに占い師になりました（爆笑）。

インタビュアー）声に素直に従ったのは、どのような思いからだったのですか？

中川）「従わなきゃ」じゃなくて、「あ、これが答えだ」とわかったから。それからは先生について、周囲も自分も驚くほどの猛勉強をして、先生の店で占い師デビューしました。

 

インタビュアー）もしかして、それまで占いとは無縁だった？

中川）ほぼ無縁でした（苦笑）。易教（えききょう）は少し勉強していたけど、それは自分が上手く立ち回れるようにという理由で、他人を観るためではなかった。
タロットは見たことあるという程度で、触ったことはなかったし、何枚あるかも知りませんでした（笑）。

インタビュアー）占い師に転職するに際し、家族の反対は当然ありましたよね？

中川）うちの親戚とかみんなからは、介護ヘルパーとして真面目に働くよう勧められました。介護職は食いっぱぐれないし、力があるから男性はありがたがられるでしょ。
でも女房のお母さんが占い師になることに賛成してくれて、女房も「じゃあしょうがないな」みたいな感じで受け入れてくれました。

 

インタビュアー）二十数年続けて来て、何人くらい鑑定されたのでしょう？

中川）述べで1万人以上はかたいでしょう。中華街で手相を見ていた頃、年末年始といった忙しい時期は、1日で100人くらい観たと思う。

 

インタビュアー）65を過ぎたあたりから、何回か救急車のお世話になっていらっしゃいます。占い師でも、自分の健康はわからないものですか？

中川）僕はビビリなので、自分の健康は占えないのよ（爆笑）。入院しちゃえばしょうがないから、「これからどうなる」と観るけれど、普段は健康に関しては、自分でも良くないなあと思うくらい手を抜いています。

 

インタビュアー）当たる占い師ほど、占うのが怖いというジレンマ・・・。
伴侶に恵まれ、ペットに恵まれ、お客さんに恵まれて、これから先はどうしましょう？

 

中川）倒れるまで働けたらいいな。需要があればだけど。ありがたいことに、占い師に定年はありません。
後継者を育ててほしい、という要望は受けます。もちろん育てたいです、そのような人材に出会えたらね。後継と言うとおこがましいから、引き継いでくれる人と言うのがいいな。引退となると、信頼してくださっているお客さんを放り出しちゃうことになるから、それでは申し訳ない。

インタビュアー）今後は粛々と占いの仕事を続ける、救急車沙汰を起こさないように気を付ける、できれば引き継いでくれる人材を育てる、他には？

中川）体重をあと5キロ落とす！

2023年11月28日　清澄白河コピスクラスにて