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占いの流行り廃り

今回のお題は「占いの流行り廃り」です。

インタビュアー)太古の昔より世界では占いが行われていて、日本では亀の甲羅を使って吉凶を示すという方法が取られていたとわかっています。陰陽師もやっていた占いですよね。

中川)熱した木の枝を亀の甲羅に押し付けて熱くして、甲羅のひび割れの具合で吉凶を占ったということです。ひび割れ方がどうこうといった内容は秘密扱いで、解説文章は残っていないので、どう占ったかという方法はわかっていないんじゃないかな。
中国から伝わった手法が奈良時代には日本に広まっていて、権力者たちが行ったものです。
権力者にとって占いは大きい意味を持つものでした。農耕社会であれば、田畑をいつどうする、といった暦の設定は非常に重要です。社会全体の未来を大きく左右しますから。

インタビュアー)古代エジプトなどでも、権力者の側近には必ず占い師が含まれていたみたいですね。旧約聖書にも王の占い師たちの話が書かれています。物語では、占い師に気に入られなければ王に近づけない、といった展開はよくありました。

中川)そうね、有名はところでは、アーサー王に助言を与えていたマーリン。予言をする役割が求められていたから、占い師というより魔術師とか呪術師という呼び方をされていました。

 

インタビュアー)権力者は人気の低下や失脚を恐れる、だから占いに頼って、占いの結果を知ることで自信を持って支配を続けたい、人気を維持したい、という解釈であっていますか?

中川)そうです。もっと最近の例を挙げると、アメリカのレーガン大統領夫人。占星術が好きで、占星術師の助言を受けていたと報道されました。自分のことだけなら良いけれど、要所要所で夫の仕事に介入したのではないか、と批判されましたよね。

 

インタビュアー)そもそも政治家は、迷信とかゲン担ぎといったものを気にしがちな人が多いみたいです。有権者に支持されないと生活がなり立たないわけですから、マイナスに働く危険のある要素は避けなければいけません。ゲン担ぎは開運とつながりそうです。

中川)開運は暦をベースにした理論で、ゲン担ぎは根拠のない個人的な主張に過ぎないけど、当事者にとっては両方大切でしょうし、それで良いと思います。両者を合わせるのは大いにアリです。

 

インタビュアー)「勝負ネクタイは紺の水玉のやつ」と気合を入れて締めて、「今月は南が吉」と定めて南の方角に向いて家を出る、とすると、結構気合いが入りますよね。

中川)そういう心構えが開運の第一歩です。心構えが変わると、言葉の使い方に気を配ろうとか、小さいことでいらつくのはみっともないとか、自分を律する気持ちが湧いてくるものです。
向こうからナガラスマホの男性が歩いていて、邪魔だとします。でもこれが男性ではなくて仔猫だったら、かわいいなあと思う。じゃあ仔猫に出会ったつもりになろう、とかね。

インタビュアー)亀の甲羅に頼る時代を経て、九星気学や算命学といった、数字を元にした占いが生まれました。世界的にみても、誕生年誕生月誕生日をもとにした占いは存在していて、地味であってもかっちりと定着して、現在に至っています。
その反対に、どーんと打ち上げ花火のように炸裂して散ったのが、血液型占いです。昭和の終わりと共に、バブルの終わりと共に、綺麗に消え去りました。

中川)あれは何だったんだろうねえ・・・・・今は誰も口にしないねえ。

 

インタビュアー)若い世代は知らないでしょう。A型は几帳面、B型は自由奔放、AB型はひねくれ者、O型はお調子者、といったような区分けがあって、世間はかなり盛り上がっていましたね。老いも若きも友達や家族の血液型をしっかり把握していて、「△ちゃんと□ちゃんはAB型同士だから、ぶつかるのは仕方ないね」なんて分析していました。アイドルや政治家のプロフィールにも必ず「血液型何々型」との記載がありました。

中川)皆根拠がないと知りつつも、「なーんか当たっているよね」といった感じで話題にしていましたよね。恋愛の相性占いから始まったはずなのに、職場での人間関係の築き方とか、向いている職業とかといった本も出回って、大した経済効果でした。
日本だけの一大ブーム。なんであんなに流行ったんだろうな。

 

インタビュアー)街角で見なくなった占いの一つは易(えき)です。歴史のある由緒正しい占いで、昔は夜の繁華街の隅っこなどに小さなテーブルを構えた易者さんが座っていましたが、今はいません。

中川)易者や天眼鏡を持った手相見や人相見という人たちはまだ多くいます。自分も鑑定には手相も観ます。
街角で易者や手相見といった人々を見なくなった最大の理由は、道路交通法の改正でしょう。法律上彼らは露店商という扱いでしたが、社会が成長するにつれて法改正が行われて、出店に規制がかけられてしまったわけです。

 

インタビュアー)育成する教室がたくさんあるタロットは、先生が使用されるライダーウェイト版は特に、安定して強いですね。

中川)それは今の話であって、ライダーウェイト版を凌ぐ新しい版が出て来る可能性も、タロットを凌ぐ占いが流行る可能性も十分あります。百年に一人、二百年に一人といった天才的スピリチュアリストが登場すれば、状況は一気にひっくり返りますから。「昔はタロット大流行りだったよね」「そう、タロットカードってあったよね」なんて会話がされる日が来るのかもしれない。
世の中に変わらないものはない、という話に行きつくんだな。
タロットでもオラクルカードを始めとする他のツールでも、運命とは何か、どう生きるのか、といった新しい解釈が生まれ、より次元の高い占いが誕生して欲しいと、僕は思っています。

2023年7月18日 清澄白河コピスクラスにて

 

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