大アルカナのカード:【Ⅱ 女教皇】
インタビュアー)【Ⅱ 女教皇】のカードの意味を調べると、「直感・感性・知性・安心・聡明・落ち着いた状況・不透明なものが見えてくる」といった説明が得られます。
中川)理解のベースはそれで良いと思います。このカードをアドバイスとして読むと、「何もしない、静観、それで先が見えてくる」です。
インタビュアー)この方はタロットカードに描かれている全女性キャラのうちの、ダントツの美人さんではないでしょうか?
中川)あ〜、それには大賛成します(笑)。
インタビュアー)勿論、ただの美人さんではありません。俗世界とは無縁の、全面的に信頼出来るキャラではないかと。青と白という色合いも、冷静で穏やかな印象ですし。
中川)そう、損得勘定とか駆け引きのなさというものを感じませんか。そのあたりが信頼感を生むんじゃないかな。
でも【Ⅱ 女教皇】は、ちょっとした試験をするんです。人間性を試しているというか、そういう面があります。
尋問するわけでもなく、ただ静観するだけなんだけど、全てを見通す能力を兼ね備えている。一般的な感性とはレベルが違います。
インタビュアー)「頭には太陽・足元に三日月」という姿には、モデルがいるのでしょうか?
中川)イシスというエジプトの月の女神をモチーフにしています。三日月は、この神様の図柄からとったという説があります。太陽は月との対比として描かれている。他にも諸説ありますけどね。
インタビュアー)このカードが最終結果に出ると、思いがけない変化が起こる可能性があると指摘されています。
中川)それは正しいけれど、そこでの変化は外的要素より自分の内面と捉えるのがよろしいと思います。
インタビュアー)この穏やかな女性が仕向けるのであれば、苦しい変化ではなさそうと期待してしまいますが、そうでしょうか?
中川)思いがけない変化が受け入れやすいかどうかは、占いで出てきた他のカード、特に鍵のカードで決まります。どのカードでもいずれは吉となると約束されているけれど、【ⅩⅥ 塔】は明らかに苦しそうでしょう。
【Ⅶ 戦車】や【ソードのナイト】だったら、もっとスムーズだろうけど。
【Ⅱ 女教皇】は、決して望み通りに望みが叶うというカードではないんです。「結果オーライ」程度と捉えるのが良いかな。
例えば「一千万円入りそうですが、入るでしょうか」と占って、最終結果に【女教皇】が出ても、「はい、一千万円入ります」とは言い切れません。「一千万円は入らないけど、文句なく満足します」あたりが妥当です。
「見えるべき要素が見えてくる」という読み方をするから、「全額は入らないけど、今まで抱えて来た悩み苦しみの全容が判明し、消えて行き、心穏やかになります」という具合ですね。それが、思いがけない内面の変化。全額すんなり手に入るのなら、最終結果は別のカードでしょう。
インタビュアー)絶対的な信頼が抱けるがゆえ、【Ⅱ 女教皇】の逆位置には、ものすごくがっかりします。
中川)これが逆位置で最終結果に出ると、「え〜っ」てなるね。「いつになったら暗いトンネルから抜けらえるんだ」って、怒りすら感じてしまうかな。
暗いトンネルを歩き続けると、心が折れそうになる。心をどう鎮めるか、どう立て直すか、が問われます。占いで出た全部のカードを検証すれば、弱い点や強化点が必ずあるから、それらを見据えて問題の解決法を探す。
インタビュアー)どっしりとした2本の柱について、説明をお願いします。
中川)タロットカードに描かれている門と扉は、シンボル的には同じ解釈です。「通過点」です。ここの柱も門と捉えます。
どの門も扉も通過するのは容易ではないけれど、【Ⅱ 女教皇】の柱と柱の間に置かれているのは薄いベールなんです。ザクロの花の模様の布。踏み込むのはちっとも難しくない。誰にでも可能です。
インタビュアー)決して難易度は高くない?
中川)どんな状況でも、自分の心を鎮めさえすれば、問題点は明らかになります。このカードは「静観」を求めるのだから、静かに正面から対峙して行くことで、必ず突破の仕方が判ります。
そして後になって、「なんだ、突破したのはコンクリートでもレンガでもなくて、薄い布だった」と気づく。見かけ通り、【Ⅱ 女教皇】は穏やかで優しいんです。
2020年5月27日 秋葉原マクトゥーブにて