1. HOME
  2. インタビュー
  3. タロット【小アルカナ3】の4枚

タロット【小アルカナ3】の4枚

インタビュアー)今回の取り上げるのは【小アルカナ3】です。

スートの特性
ワンド: 気力、情熱、野心、向上心
カップ: 心の動き、感情、ロマンス、創造性
ソード: 知性、判断力
ペンタクル: 実務 経済活動 健康

【小アルカナ3】のテーマは「成長」です。
どう避けようとあがいても目を惹くのが【ソード3】です。「痛み・離別・失敗」を示します。占いで出てくると、一瞬息が止まるというほどの絶望感が湧きあがります。これが出てきてしまったら、どうしましょう?

中川)【ソード3】ねえ・・・。計画を占っていてこのカードが結論に出たら、「出来るのなら、中止にしましょう」と提案します。でも世の中には、そうは行かない事情はいくらもありますね。そういう時に占い師は、このカードの背景を入念に説明します。
このカードには、人間も動物も描かれていません。タロットの中でもそういうのはこれと【ワンド8】の二枚だけです。

人も動物もいないというのは、人智の及ばない大きな力が直接現れる、と捉えます。
【ワンド8】正位置は「良くわからないまま、何故か順調に進む」といった具合で、逆位置の解釈はその正反対。上手く行くも行かないも、自分のコントロールの外で決まってしまう。
【ソード3】も同じで、自分の努力不足でも作戦ミスでも、誰かの悪意のせいでもなく、計画はちっとも上手く行かなくなります。挑み続けなくてはいけないのなら、痛みを伴う、道のりはとてつもなく厳しい、と覚悟しなくてはいけません。人智が及ばないとはそういうことです。

残念ながら、逆位置でもさほど意味合いは変わりません。過去に受けたものと似たような試練を経験する、という具合で多少乗り越えやすいという程度。

 

インタビュアー)他に「外科手術」も含む、と付け加えないといけませんね。

中川)そう。【ソード】は剣ですから、病気を占って出た場合は手術を暗示します。

 

インタビュアー)今日は絵柄が厳しい順に取り上げてみましょう(苦笑)。次は【ペンタクル3】です。人物たちは穏やかですが、背景が真っ黒です。【XVI塔】や【XV悪魔】と同じとはあんまりではないですか。

中川)なぜ背景が黒いかという理由を二つ挙げます。一つは不安という要素。この左側の若者は新人の大工なので、「無事に教会は完成するのだろうか」との不安を抱いているのです。二つ目は、この建物は教会という宗教施設であるゆえ、その神秘性を黒という色が表しているという点です。

その程度だから、【XVI塔】や【XV悪魔】のように恐れる必要はないです。

 

インタビュアー)占いの場で当事者を示すのは、この若い職人ですよね。

中川)大概の場合そう読みます。右側の二人は、パトロンなり協力者といった存在。一生懸命働く若者に助言を与えています。
逆位置のイメージは「教会が建たない」です。つまり能力を発揮できない、業績が伸びない、協力者得られない、といったところ。

 

インタビュアー)やや寂しげに背中を見せている【ワンド3】に移ります。成長する、主導権を持つ、といったカードなのだから、もっと嬉しげでも良いのではないかと思うのですが、どうでしょう?

中川)そう、こっち向いていても良いはずなんだけどね。背中を向けているとは、心が内向きになっていると理解します。占いのカード全部の調和が良いものであれば、「もっと周囲に心を開きましょう」と助言します。

 

インタビュアー)一人ぽつんと立っています。でも人間関係は良好なのですよね?

中川)正位置では上手くまとめていると読みます。業績が伸びて行くのですからね。けれど逆位置となるといけません。組織に属する人が仕事を占って【ワンド3】逆位置が結論で出たとします。その人がリーダーであるなら、「主導権失う・弱める」と読みます。リーダーでないのなら、「上司が足を引っ張っている」とも読みます。このケースは案外多い。

 

インタビュアー)最後に最も穏やかな絵柄の【カップ3】を取り上げます。手放しに文句なしに晴々とした印象です。

中川)人間関係の調和によって成果をあげる、と読みます。「人と関わる」がポイントです。さっきの【ペンタクル3】は目上・目下の関わりでしたけど、【カップ3】は仲間との交流です。
逆位置では意味が反対になって、不協和音が生じ、成果が上がらない。もっとひどくなると、仲間同士で足を引っ張り合う。単純でしょ。

 

インタビュアー)描かれている人物は三人です。だとすると、恋愛や結婚とは結びつかない?

中川)仲間を示すカードですから、恋愛を占って正位置だと、友人止まりと読みます。

【カップ2】を並べて見れば一目瞭然でしょう。逆位置は不倫や三角関係を暗示します。

 

インタビュアー)今月の【小アルカナ3】のテーマは成長、先月の【小アルカナ4】は安定でした。成長は変化だから、安定とは共存しない。不安や痛みが伴うのは仕方ないのでしょう。

中川)よくよく考えてみれば、成長は良いことづくめではないんですよね。
転職や昇進をすると、仲間と離れ離れになる、あるいは知らない土地に引っ越す、といった移動が生じたりしますね。身体に筋肉をつけようとしているのに「痛いのは嫌だから、そうなる前にトレーニングをやめる」では、いつまで経っても筋肉はつかないままで終わり。
痛みなくして成長なし、と割り切ってください(苦笑)。

2023年2月18日 横浜マクトゥーブにて

インタビュー

インタビュー一覧