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タロット【小アルカナ2】の4枚

インタビュアー)今回取り上げるのは【小アルカナ2】です。

スートの特性
ワンド: 気力、情熱、野心、向上心
カップ: 心の動き、感情、ロマンス、創造性
ソード: 知性、判断力
ペンタクル: 実務 経済活動 健康

【小アルカナ2】のテーマは「二つのもののバランス」です。
一対一のバランスなのに、【ワンド2】の絵柄はそう示していなさそうです。

中川)棒の配置に注目してください。一本は背中側、もう一本は人物の左手にあります。前後のバランス、過去と未来のバランス、と捉えます。後ろのは地についていて、過去にやり挙げた実績を示します。前のはこれから行うこと。【ワンド2】のバランスとは、過去の実績の上に将来の展望を成り立たさせるというものです。

 

インタビュアー)棒には葉っぱ、つまりアイディがくっついているけれど、現在は動けない、動かない。

中川)これはアレキサンダー大王が船を見送っている姿、と言われています。彼は船が出ていって成果を持ち帰るのを待っていて、正位置は「良い結果を待つ」。良いと言っても、すぐに結果が欲しい時に待つのは、フラストレーションが溜まりますよね。合格とわかっていながら、確証を待たなきゃいけない受験の結果とか。

 

インタビュアー)白いユリは正しい考え、赤いバラは情熱を示します。真っ当な心構えを示しています。
逆位置での意味合いは?

中川)「そのままでいても成果は期待できない」、鍵として読むのなら「待たずに動いて吉」です。ここでわかって欲しいのは、逆位置でもダメじゃないということです。

 

インタビュアー)株の投資を占っていて結論が【ワンド2】逆位置では、成果は損失というよりトントンという程度?

中川)そう。逆位置でもその程度。明らかな損失なら、【ソード10】正位置とか【ワンド9】逆位置とかが示しますから。

 

インタビュアー)同じく動かない、動けない【ソード2】について伺います。剣の交差が対称形なので、バランスを取るとのメッセージは明解です。この目隠しして座っている女性は、どう理解しましょう?

中川)ソードの特質である「思考」をイメージしてください。彼女は決断を前にして、Aという考え方とBという考え方のバランスを一生懸命とっている。けれど判断はしない。正位置は「決断は先延ばし」と読みます。

 

インタビュアー)待たされた挙句に決断するなという、いわば宙ぶらりんな状態なのに、【ソード2】の空は【ワンド2】より青く描かれています。どうしてでしょう?

中川)【ソード2】の女性が座っているのは、石でできた正方形の台座です。これは、しっかりとした生活基盤ができている証と捉えます。ですから慌てる必要はない。平和なんです。だから空は明るい。

 

インタビュアー)さっきのアレキサンダー大王は、やきもきしながら待っている。一方この女性は平穏に待っている、と。

中川)逆位置では「決断が行われ、良い方向に進む」と読みます。けれど、自分で下すのではなく他者が行う。自分で下すのであれば、【ソード4】逆位置や【カップ7】逆位置が示します。

 

インタビュアー)他の人の判断で良い結果が得られるというのは、実はありがたい話ではないかと思います。
【ペンタクル2】は「人生は楽しむもの」と暗示していると先生はおっしゃいます。正位置では、回しているコインを落とすことはなく、諸々大丈夫。とはいえ、海は結構な荒れ模様。

中川)「目の前のことに集中して、楽しむこと」と言い変えればわかりやすいかな。この曲芸師は、波乱万丈を示す荒海に背を向けている。「何事も臨機応変に対応して行こう、人生に難問はつきものなんだけれど、難問にいちいち目を向けていては、やっていけないよ」と(苦笑)。

 

インタビュアー)この軽い感じのおにいさんは曲芸師でしたか。帽子も服も、コスチュームなんですね。で、二枚のコインはどう解釈しましょう?

中川)「一つのものを対立する二つに分けたもの」です。一日の時間を仕事の時間とプライベートの時間に分ける、財源を収入と支出に分ける、といった具合。これらをくるくると回し続ける。インフィニティのシンボルが示す通り、生きている以上はひたすらずっと。

 

インタビュアー)コインを落としてしまうのが逆位置。楽しく過ごせなくなる、変化について行けなくなる。

中川)もしくは単にバランスを崩す。先ほどの仕事とプライベートで言えば、収入と支出が偏ってしまう。逆位置でも深刻にはならず、「楽しめない」程度の軽さで読んでください。

 

インタビュアー)恋愛のカードの代表格の【カップ2】を取り上げます。意味合いは絵柄の通りだし、空は文句なしの青さです。

中川)恋愛で取り上げられがちだけど、「対人関係におけるバランス」と捉えます。友人であれば友情だし、仕事関係であればコミュニケーションがよく取れている、ギブアンドテイクに偏りがないというイメージです。
逆位置は単純に仲違い、コミュニケーションに難あり、ギブアンドテイクが不均等。

 

インタビュアー)対人関係とは結びつかない占いで【カップ2】が出たら、どう理解すれば良いでしょう?

中川)自分ともう一人の自分、と当てはめてみてください。他人には見せない、内に秘めている自分といった存在。

 

インタビュアー)占いの鍵として読む時、「コミュニケーションをしっかりとる」が、正位置逆位置とも一般的です。でも先生はもう一つの解釈もされます。

中川)鍵が逆位置の際に「コミュニケーションを断つ」という読み方もします。相手の感情次第では、そっとしておく方がプラスに働く時もある。コミュニケーションって、とれば良いってもんじゃない(苦笑)。

 

インタビュアー)話が進むにつれ、【カップ2】は大きく読まなければいけないと納得します。

中川)過不足のないコミュニケーションの向こうにあるのは、「他者を理解することで自分を理解する」という概念じゃないかな。
【カップ2】の上部にはライオンの頭と鷲の羽が合体した姿があるでしょ。ライオンが示す情熱と、鷲の冷静さが一緒になった「聖なる獣」です。二匹の蛇が巻き付いているのは、カドケウスの杖という医療の神様のシンボル。山は精神性の高さを示していて、この高い山の上の建物は祈りの場です。聖なる獣は名前の通り格別な存在で、それ以外にも高貴なシンボルが描かれています。
一見すると、単純に喜ばしい印象だけれど、「生きて行くには、心から理解してくれる人や心から理解したい人が必要、それらを大切にしなさい」と【カップ2】は訴えているのです。

2023年3月21日 清澄白河コピスクラスにて

 

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