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タロット【小アルカナ:エースの4枚】

インタビュアー)今回の取り上げるのは【小アルカナ:エースの4枚】です。

スートの特性
ワンド: 気力、情熱、野心、向上心
カップ: 心の動き、感情、ロマンス、創造性
ソード: 知性、判断力
ペンタクル: 実務 経済活動 健康

【小アルカナ:エース】のテーマは「始まり」です。
四枚とも、白い手が雲から突き出ているという絵が描かれています。 人間の力を超えた、天からの力が存在していると捉えます。

中川)意味合いは簡単です。「各スートが持つ要素を始める」と考えてください。ワンドであれば、気力、情熱、野心、向上心。カップは心の動き、感情、ロマンス、創造性。ソードは知性、判断力。ペンタクルは実務、経済活動、健康。
始まりを表すと言っても、どれもスピーディに結果が得られるとの期待は出来ません。ペンタクルには、時間がかかるという特徴があります。このエースのカードの後ろには、果樹園が描かれていますね。果樹園は半年や一年ではできないわけで、スタートラインに立ってから目的の達成までは結構かかる、と暗示しています。

 

インタビュアー)土を耕し、種を植えて水や肥料をやり、経験すべき季節を経験させる、といったプロセスが必要なんですね。もどかしい。
【ソードエース】の背景には、荒野が見えます。【IV皇帝】同様、この荒地を切り開いて実りをもたらす土地を造れ、という指示ですよね。こちらも大変です。

中川)【カップエース】の背景には湖があって、蓮の花が浮かんでいます。海とは違い、荒々しくなることはない。穏やかです。【ワンドエース】の背景には川と山で、こちらも穏やか。「山頂の白い城にたどり着け」との暗示が含まれています。

 

インタビュアー)逆位置は「始めるのはやめる」で、ひどくがっかりですね。

中川)逆位置の「やめておけ」にも、スートごとに違いがあります。僕はワンドに限っては、「重圧はあるけれどスタートして吉」と読みます。重圧や妨害はあるけれど、占いの相談者にはそれらを押しのける力があるからだと告げます。障害物をどう押しのけるかは、他のカードを検証して調べます。
感情がポイントですから、カップの逆位置も、比較的ひっくり返しやすいです。心理的なブレを調整するんです。わかるかな?

 

インタビュアー)「私は過保護なママのおせっかいを迷惑と思うけど、すっかり甘えちゃっています」に、「これからは何でも自分でしましょう」と。

中川)そう、そんな感じ。ペンタクルはお金とか資材とか、あるいは健康面の不安があるのだから、それらを取り除くよう手を尽くせば、いずれは逆位置をひっくり返せます。
厄介なのが【ソードエース】です。これだけは無条件に「計画は中止」と助言せざるを得ない(苦笑)。

 

インタビュアー)このカードの逆位置は、自分に剣が突き刺さるという絵柄ですものね。

中川)木の枝や聖杯が逆さになってもそう大した騒ぎではないけれど、長い剣がこちらに向いているのは危険度半端ない。理屈抜きに「やめてください」と言います。

 

インタビュアー)鳩と冠はどう捉えましょう?

中川)良く言われている通り、鳩は平和の象徴。冠は勝利の象徴です。周りにあるのは棗椰子とオリーブ。前者は豊穣を、後者は名誉を表します。ひらひら散っているのはアイディア。

 

インタビュアー)占いで【エース】がたくさん出るというのは、特別な意味を持つのでしょうか?

中川)神がかりという印象は大いにあります。僕が行う「ケルト十字」という占い方では、カードを10枚使うんだけど、その中で3枚正位置の【エース】が出たら、ぞくっとしますね。2枚出るのは時たまあって、「おお!」って感じだけど、3枚だと「その時が来た」との神の啓示と受け止めます。
転職の相談で例えると、【エース】正位置が1枚出たら、普通に「転職しましょう」と告げる。3枚出たら、「本人が望む以上の何か大きな力が後押ししていてくれている」と付け加えます。

 

インタビュアー)4枚全部出たら、五体投地モノですか?

中川)長年占い師をしているけれど、一気に4枚出したことはないなあ。

 

インタビュアー)トランプのエースは、ポーカーやブラックジャックなどのゲームでは、俄然強いしマルチな働きをしますよね。タロットのエースは気位こそ高そうですが、そういった複雑さは読み取れません。実際そうでしょうか?

中川)【エース】は抽象的なんです。【ペンタクル7】逆位置だったら「借金背負います」といった具体的なメッセージがあるけれど、【エース】は「始めましょう」のみ。

とはいえ、やはりそれだけじゃないです。突き出た手が差し出している物を受け取る際には、それまで抱えていたものを捨てなきゃいけないんです。【ワンドエース】なら、ここで新しいワンドを受け取るために、それまで抱えていた古いワンドを手放すということ。
つまり、それまで抱いていた信念や思い込みは捨てる。まっさらな新しい手法や考え方で進んで行くとの意識が必要になる。【エース】ならではの特性はこの点です。

インタビュアー)やっぱりエースには、エースなりのプラスアルファが存在するのですね。

今回のインタビューで、タロットカード全78枚の検証を終えました。この場で一言お願いします。

 

中川)読者の方々にも細かい絵柄に目を向けてもらいたいと思いながら、解説を進めてきました。
衣装もいろいろ凝っているし、動物も様々だし、カード同士の共通点はたくさんある。【ペンタクルエース】には白い百合と赤い薔薇が描かれています。【I魔術師】と同じですね。どちらも「行動せよ」と訴えています。
そういう風に共通点相違点を見つけるのは、結構楽しい遊びです。興味を持ってくださった方は、ぜひタロットカードを買って手に取ってみてください。

2023年4月22日 横浜マクトゥーブにて

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