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対談・【ⅩⅨ 太陽】と死生観

永坂)年の節目でも年度の変わり目でもないのですが、中川先生から唐突に要求が飛び込んできまして、今月からこの対談の内容をがらっと変えることになりました。
変更とは、カードを引いてそれについていくらか語ったあとは、「そこからの脱線OK対談」という趣向で話を進める、です。では、粛々と始めることといたしましょう。いつものように、一枚お引きください。

中川)これからはあなたが引いてよ。

永坂)あ、そうですか。ここも変更ですか、はい。

〜カードをシャッフルして一枚引く〜

中川)【大アルカナ・太陽】か。意味合いは、「共同作業」「主張」「才能を手にいれる」といったところ。
カードを占いのツールではなく、人生を読み解くツールとすると、【太陽】の意味は「解放」だと思う。いよいよ解放されるんだ、すべてから。しがらみ、苦しみ、悩み、悲しみ、喜び、幸福、満足、なんでも。
死をもっての解放。
次のカードは【審判】でしょ。【太陽】で死んだ後にここで生まれ変わって、【世界】で完成。繰り返すけど、これは占いでなく、「人生を読み解く」という見方での話ね。

永坂)占いでも人生観を読み解く場でも、【太陽】は喜ばしいカードなのに、このお日様はひどく無愛想な表情をしていませんか。笑っていては威厳がなさそうですが、それにしても不機嫌そうです。
私が初めてタロットと出会ったのは高校生の終わり頃だったと記憶しますが、【星】【月】【太陽】の3枚はオカルトっぽさが強くて、なんとも気味の悪いカードとびびっていました。

中川)この3枚を俺は勝手に「光の3シリーズ」と呼んでいるんだけど、確かにオカルトっぽいカードだよね。
【星】は死に水をとってもらってる、【月】は冥土への旅立ちを示している、【太陽】でいよいよ魂が解放されるんだ。そうわかってきた。

 

永坂)カードのシンボルとして、子どもは無垢の魂を示します。旗は主張と言うから、先生の人生観論に照らし合わせると、「俺、これだけ達成したからね〜」と主張しながら、【審判】の方へ向かって行くというわけですね。手前にあるひまわりをどう捉えましょう?

中川)ひまわりは強い信仰心の象徴。思想ではなく信仰。世間の人たちとの兼ね合いがどうこうではなくて、神への敬愛なり尊重。
自分の話をするとね、73にもなると「死に向かっている」との意識が日々の暮らしの中でチラつくわけよ。まあ、自然なことだよね。一般論として、歳を取ると信仰心が深まるというけど、どうしようか、どの宗教に行こうか、すっごく迷うなあ(苦笑)。

永坂)先生はタイをうろうろしていたり、インドもうろうろしていたり、日本でも真っ当な宗教から怪しいものまでチラ見されたらしいし、ホント、どこに落ち着くんでしょうね。

中川)結局宗教とは一切縁がなかったなあ。首は突っ込んだんだけど、なぜか既存の宗教にはまれなかった。
よくよく思い出すと、オカルトにはまったのが7歳くらいの頃だったのよ。どこの誰でもいいから、死後の世界を聞き出したかったんだ。死後の世界を垣間見たかった。知ってる?昔さ、「レコードを逆回転させたら、死者の声が聞こえる」という噂。

永坂)ありました、ありました、そんな究極の都市伝説。指を使ってレコードを逆さに回せば聞こえるんだって。「連れて行かれてしまうかもしれないから、いたずらな気持ちで試しては絶対にいけない」、との戒めがついていましたっけ。

 

中川)レコード逆回転を何度も試したんだけど、何も聞こえなかった。それで7歳にして死後の世界はないと納得して、それ以降、ありとあらゆる宗教へ行った。でもみんな「こう生きなさい」と言うけれど、死後の世界を具体的に説明してくれる人は誰もいなかったんだ。

永坂)世界的にそうなんですよ。そういうの、無茶ぶりって言うんですよ。誰も経験していない世界のことですもの、教えようがないでしょう。古典落語にはその手の噺がいくつかありますから、落語にでも浸ってください。

中川)じゃあ輪廻転生はどうかというと、これも信じにくいなあ。前世の記憶がないんだから、来世に生まれても今の記憶はないんだよね。だったら過去に学んだ教訓が生かされないじゃないか。皆誰も何も学ばないんだ!
死ぬのは怖い、死後の世界は覗いてみたい、この年齢になると安心したい。 安心を求めようとすると、信仰につながるんだろうな。
それと、皆死にたくないのよ。俺も未練が出てきたもの。今までそうじゃなかったのに、この二、三年、世の中が美しいなと思うようになったのよ。そうしたら、未練が出てきた。死ぬのが怖いというのもあるけど、この世も悪くないな、離れるのは寂しいな、と思うわけ。

 

永坂)それが精神的に健康的な姿なのでしょうね。心に大きな歪みがあると、自殺しようとしたり、不老不死を求めるといった抵抗をしたりするわけで、未練がじわりじわりと高まるのは、健康な証。
経済学者の森永卓郎さんは最晩年に、「来年の桜が見られるかどうか」といった発言されていましたね。坂本龍一さんは、「あと何回、満月が見られるのか」と、似たような表現をされました。未練を、美しい光景を見続けたいという言い方で語られた。

中川)死に近づくというのは、そういうことなんだな。70を過ぎると、嫌でも死を意識する瞬間があります。

 

永坂)何事も相応に満たされたと納得した高齢者は、心が純粋になって行くのでしょうか。
話を占いに戻すと、私は「占い師に純粋さは要らない、単純思考になってしまうのではないか、純粋さを押し殺さなくてもいいけれど、大きく広げてはいけない」と感じているのですが、どう思われますか?

中川)・・・(長い沈黙)。まだ、そこまで行かれないんだよね、「占い師とはこうあるべきだ」って。

永坂)あー、今のは、経験が足りていない占い師の浅知恵といった発言でしたか。「お前、まだまだ丸っ切り青いな」でしたか。

中川)うんうんうん、あたり(爆笑)。

永坂)もっと占い師としての経験を積んで、青い発想からの卒業を目指します(苦笑)。

2026年3月 横浜関内占いマクトゥーブにて

 

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