タロット小アルカナ<9>の4枚
インタビュアー)今回は、【ワンド9】【カップ9】】【ソード9】【ペンタクル9】を取り上げます。
スートの特性:
ワンド: 気力、情熱、野心、向上心
カップ: 心の動き、感情、ロマンス、創造性
ソード: 知性、判断力
ペンタクル: 実務 経済活動 健康
【小アルカナ9】のテーマは「到達に近づく」です。
中川)先月取り上げた【小アルカナ10】はゴールや区切りを意味します。その手前の【小アルカナ9】は、「あと一歩のところまで来た」といったところです。
【ワンド9】から説明を始めましょう。この人物が頭に包帯を巻いているのは、過去に痛い目にあったせいです。だから「まだ戦いは終わっていない、また敵が攻めて来るのではないか」と、警戒の目つきで周囲を眺めています。
後ろに並んでいるワンド(棒)は過去の実績を示します。ちゃんと成果は出しているのです。
この兵士は体つきが立派ですね。そして空は青い。占いでこのカードが正位置で出れば、「守りきる」と読みます。
逆位置では意味合いが正反対になって、「守りきれない」「戦いは続く」と受け止めます。
インタビュアー)【カップ9】は「wish card(欲しいものが手に入るカード)」とも呼ばれています。調べてみたら、日常を表す小アルカナのカードにおいて、のほほんとした笑顔が描かれているのは【カップ3】だけでした。
他にも笑みを浮かべているカードはあって、その中で最も顕著なのが【カップ9】です。けれどちょっと素直さに欠けるというか、シニカルな表情ですよね。
中川)【カップ9】は人物が一人だけで、しかも腕組みをしている。誰かと喜びを共有してはいないんです。得たのは個人的な幸福感。大げさに言うと、独りよがりな幸福感。
だから「欲しいものが手に入る」というカードなのに、「調子に乗りすぎてはいけない」という戒めがついてまわります。といっても空は黄色だから、そう簡単に形勢逆転といった事態は起こらない。長期的にみて注意が必要といった程度です。
逆位置の解釈は、「望みは叶わない」「上手く行くけれど、かすかに不満は残る」。どちらがふさわしいかは、占いで出た全部のカードを検証して選びます。
インタビュアー)【ソード10】に引き続き、【ソード9】も絶望感いっぱいです。占いで出るとげんなりします。
中川)ソード(剣)の数は多ければ良いってものではないんだな。
【ソード3】と【ソード5】は、【ソード9】と同じように痛みを表しますが、【ソード9】は自分を責めているという、精神的な痛みを示している場合が多いです。
背景に9本の剣が綺麗に並んでいます。毛布のバラは情熱を、服の白は純潔を示します。この人物は、一生懸命、剣を正当な使い方をして戦って、成果をあげたのだけど・・・。
インタビュアー)何らかの想定外が起こって、失敗してしまって、自責の念に苦しめられている?
中川)そうね。あと、良かれと思ってとった行動が裏目に出た時なんかも、占いでこのカードが登場します。
逆位置は形勢逆転で、苦しみの解決や立ち直りを示します。立ち止まっていたけれど、前進する時が来た、という具合。
インタビュアー)【ペンタクル9】には、ゆったり豊かな印象の絵柄が描かれています。正位置は安定や経済的な成功を、逆位置では喪失、損失、不安定といった読み方をします。
中川)この人物は右手で富を表すペンタクルのマークを触っていて、左手で持っている鳥に話しかけています。手袋をしているから、鳥は猛禽類、高い精神性を示す鳥と捉えます。この人物は富を得たことで満足してはいなくて、より高い精神性を目指しているのです。
この人は身体をねじっていて、顔と身体が違う方向を向いていますね。それが、「現状維持ではなく、次の次元を見据えている」と考えられている理由です。
インタビュアー)ところで気になるのは、描かれている服の模様です。
中川)女性を表すマークがこんなにたくさんついていて、強調し過ぎですよね。あまりにあからさまだから、この人物は男性なのではないかと言われています。足元にカタツムリがいるでしょう。カタツムリは両性具有のシンボルだから、やはりそうではないかと。
インタビュアー)LBGTQの暗示なんだ! パメラさん(パメラ・コールマン・スミス:ライダーウェイト版タロットの画家)、時代を先取り!
でももし本当にそうだとしたら、どうしてそうする必要があったのでしょう?
中川)パメラさんに尋ねたい質問が、またひとつここにも(苦笑)。
2022年7月22日 横浜マクトゥーブにて