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タロット小アルカナ<8>の4枚

インタビュアー)今回は小アルカナの8を取り上げます。

スートの特性:
ワンド: 気力、情熱、野心、向上心
カップ: 心の動き、感情、ロマンス、創造性
ソード: 知性、判断力
ペンタクル: 実務 経済活動 健康

【小アルカナ8】のテーマは「時間の経過」「時間の使い方」と先生は解釈なさいます。

いつものように、ワンドから検証して行きましょう。【ワンド8】は少々特徴的で、人間が描かれていません。

中川)タロットカード全78枚の中で、人も動物も描かれていないのは、これと【ソード3】の二枚だけです。

正位置では、人間や動物を遥かに凌ぐ超越した力がスピーディに働き、良い結果を生むと理解します。ワンドというスートはそもそも速く動くという特性がありますが、【ワンド8】超越した力の直接介入だから、結構劇的です。

 

インタビュアー)逆位置の解釈が壊滅的と呼べるくらい落胆させるのは、逆行する力がそういったものから派生しているからなのですね。

中川)そうなんです。これの逆位置という不本意な結果は、誰かがサボった、力が至らなかった、よその人に邪魔された、ということではなく、人智を超えた力に「今はダメ」と動きを止められてしまったと捉えます。どうあがこうとしても、無理という感じ。

さっさと動きたい時に【ワンド8】が逆で出ると、なんとも歯痒いですね。

 

インタビュアー)【カップ8】の人物は情熱を表す赤の服をまとっています。けれど絵柄を見ると世捨て人にも思います。そうでしょうか?

中川)一人で去って行く姿ではあるけれど、世捨て人ではありません。

まず、これは「何事にも丁寧に対処してきた人が出すカード」、という点をわかっておきましょう。カップがきれいに並んでいますね。この人が几帳面に積み上げた成果です。けれど何か物足りない。それで、満たす何かを探しに出かけて行くのです。

彼は慌ててはいません。急ぐことなく、穏やかに歩んで行きます。

 

インタビュアー)社会ではなく、自分に対して物足りなさという不満を抱いている。山は精神性の高さの象徴だから、彼は山に登って、単独で何かを成し遂げる。

月の描き方はどう理解しましょう?

中川)三日月と満月が一緒になっているという。月の二面性、これから満ちて行くものと欠けて行くものと、を表す。「満ちるものも欠けるものも、元は一つ」というメッセージです。

逆位置の解釈で、「人との関わり合いが戻る」というのが提示されがちですけれど、「探していたものが見つかり、気持ちが満たされる」というのも覚えておいて欲しいです。

 

インタビュアー)おっかない絵柄が多いソードですが、【ソード8】も例外ではありません。足元は泥々で、嫌な印象ですね。

中川)剣が縦に立っているというのは、問題はまだ解決していない、との暗示です。

この女性は誰かの被害に遭ったのではなく、自分で自分を縛ってしまった。人間には「これは出来ない」「自分には無理」と勝手に思い込む習性があって、このカードはそのジレンマを示しているのです。

逆位置の解釈は自己解放。自分のやっていることが肯定出来て、好きにやって行くようになる。

目指すのは自己解放ですから、自分の手で縄をほどき目隠しを外し、泥の中から前進して行くという過程を辿ります。どれほどの時間をかけるか、どう使うかは、自分の意志で決まります。

 

インタビュアー)【ペンタクル8】は、職人がこつこつと仕事をしているという絵柄です。好感の持てる姿勢ですけど、年単位の時間がかかりそうな印象が気になります。どうでしょう?

中川)そうね、一、二年かかってしまいそうな感じはしますね。

このカードで注目すべきは、職人の服装です。大アルカナ【XII吊るし人】と同じでしょ。あのカードが示したように、【ペンタクル8】の職人は、自ら望んで努力を重ねています。

町に背中を向けているという姿勢は、「注目されなくていい」という地道さを表しています。座っているのは木の椅子で、石のものより安定に欠ける。木の椅子と空の暗さは、技術を磨く道のりが長いことを示しています。逆位置になると、仕事は手抜きになる、得た技術が活かせない、という解釈になります。

占いの相談者であれば誰しもスピーディーな解決を求めたがりますが、ペンタクルというスートは地味で時間がかかるものなのです。けれど得た結果は技術の習得だから、一時的なものではありません。活かすのなら、一生もの、末長く維持できる技です。ここがペンタクルの強みと覚えておいてください。

2022年8月19日 横浜マクトゥーブにて

 

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