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大アルカナのカード:【XIX太陽】

今回のトピックは「大アルカナのカード:【XIX太陽】」です。

インタビュアー)近年の言葉で「ガン見」というのがありますが、今回検証する【XIX太陽】は「ガン見」の典型例と言えるカードです。

「こちらを向いているカード」を調べたら、大アルカナでは10枚、小アルカナでは3枚見つかりました。その中でもガン見系は【XIX太陽】の他、【XV悪魔】【ペンタクル4】【カップ9】でした。

中川)今まで気にかけていなかったけれど、【XIX太陽】は太陽がこっちを見ている、子どもが見ている、馬が見ている、の三重構造になっているんだな。

 

インタビュアー)愛想のない顔で、オカルトな雰囲気満々ですから、「【XIX太陽】正位置って良い意味合いなのよね?」と懐疑的になってしまいます。逆位置の方が良いのかも、と誤解されても仕方なさそうです。
一方、笑顔の幼児や満開のひまわりといった喜ばしさも描かれていて、ちょっとした混乱を起こすのかもしれません。

中川)そう言われてみればそうだね。

太陽の顔に【II女教皇】が持っている慈悲深さといったい感じはない。後ろの灰色の塀なんかも1/3くらい覆っているから開放感はないし、色味が抑えられている。
馬も少し灰色かかっているでしょう。

【XIII死】の馬と比べればわかります。あちらは真っ白です。

 

インタビュアー)意味合いを調べると、ウィキペディアも他のサイトも先生も、概ね同じことを述べています。

正位置の解釈は、成功、誕生、祝福、勝利、約束された将来、明るい状況、正直、無邪気、天真爛漫、喜びなど。
先生は成功、祝福の他、主張、共同作業を付け加えます。

中川)裸の子供が持っている旗に注目してください。
【XIX太陽】は、シンボルてんこ盛りというカードなんだけど、「主張」は旗から読み取ります。もともと旗は、領地だけではなく、思想とか心情を表すツールでもあるわけだから。

 

インタビュアー)「我々は勝利した」「我々は革命軍だ」といった?

中川)そうね。このカードに描かれている旗は軍旗だとも言われています。
だから尚更、自分は何者かを明解に告げるシンボルと受け止めます。こんなにはっきりと旗が描かれている以上、「主張」という解釈は抜け落ちているべきではない、と僕は考えます。

 

インタビュアー)逆位置の解釈も皆さん概ね似通っていて、不調、落胆、衰退、意味のない時間、見通しが暗い、陰り、悪化、失墜、未来に期待出来ない、といったあたりです。
先生は計画の無さ、中断、わがまま、主張出来ない、共同作業は成立しない、と述べられます。

中川)それで結構です。

 

インタビュアー)「主張」に話を戻します。
占いで【XIX太陽】が出て主張と読まれた際、先生は相談者に「何を主張したいか明確にさせましょう」と指摘されます。

中川)つまるところ、「人間関係から派生した問題にどう対応するか」、が占いにおける論点のほぼすべてです。
自分と周囲の人たちがどう関わるかを考慮する時。自分はどうしたいかを自分ではっきり理解して、表明出来るようにしておかないといけません。

転職を例に挙げましょう。
転職したい理由が「今の上司が気に入らない」では、弱い。
「今の環境では自分の能力を伸ばせそうもない」も、漠然とし過ぎています。
問題点を見つけ出した上で、「どのような業務に携わりたいか」「どのような流れを構築したいか」といった自分の信念を明確にすることで、賢い転職という道が開けるわけです。

「主張」には「信念」「心情」が含まれると考えます。

 

インタビュアー)絵柄について言及します。先ほど軍旗は主張と説明いただきましたが、他にもたくさんあります。

太陽→理性
直線の光→直感、潜在意識
波型の光→直感、顕在意識
塀→安全な場所
ひまわり→技術・才能を会得しての自立、まだ塀の中なので限定的
幼児→無垢な可能性、達成には時間が必要
馬→本能
幼児と馬→一体感

中川)この「赤ん坊と馬がつくる一体感」で「共同作業」というキーワードが登場するわけです。
人間と馬という、まったく異質な種が共存している。赤ん坊は非常に無垢なもの、馬は本能や、名誉欲や性欲といった欲望を表す。一人の人間の中にそれらが一体となり、成長して行く。

【XIX太陽】が示す一体感は、「自分とは異質な人たちと一緒に何かをする」と捉えます。
自分とは違うタイプの人間、例えば多国籍企業の社員が、日本人ではない人たちとチームを組むといったこと。あるいは、異業種同士が交流してプロジェクトを実行する。

インタビュアー)三味線とクラリネットの合奏とか?

中川)そうそう。似通った人々の集合体で成功するのなら、【ペンタクル10】、仲間内だったら【カップ3】が示すはずですから。

インタビュアー)「主張」と「共同作業」を掲載している占いサイトがほぼ見当たらないので、話がこれらに集中しました。
正位置が「祝福」「喜び」「約束された将来」といった解釈に当てはまるケースも、逆位置におけるそれらの逆のケースも、特に説明には及ばない、でよろしいかと。

今回をもって、「オカルトの三枚」と呼ばれた【XVII星】【XVIII月】【XIX太陽】の解説が完結しました。

中川)今頃言うか、と突っ込まれそうで気が引けるのですが、この三枚に限定するのではなくて、そもそもタロットカード自体がオカルトなのではないでしょうか。
占われていて、「どうしてわかるの?」と驚くことは普通にあるでしょう?タロットをオカルトと定義づけるつけないは個人の自由ですが、不思議さは楽しんでもらいたいです。

2021年11月26日 秋葉原マクトゥーブにて

 

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