タロット小アルカナ＜10＞の4枚

インタビュアー）トピックが小アルカナに移ります。10からエースへという順番で進めますので、今回取り上げるのは【ワンド10】【カップ10】】【ソード10】】【ペンタクル10】です。

スートの特性：
ワンド：　気力、情熱、野心、向上心
カップ：　心の動き、感情、ロマンス、創造性
ソード：　知性、判断力
ペンタクル：　実務　経済活動　健康

中川）大雑把な言い方をすると、大アルカナは人の内面の問題、小アルカナは現実世界での出来事と捉えます。一般論として、個人の気持ちより現実社会の動きを変える方がより厄介だから、大アルカナの結果を覆すより小アルカナの結果を覆す方が難しい、と考えます。

インタビュアー）【小アルカナ10】は、ゴールや区切りを意味します。ゴールと聞くと輝かしいフィニッシュというイメージを思い浮かべがちですが、4枚全部そうではありません。
【カップ10】と【ペンタクル10】は万々歳ですが、【ワンド10】はめちゃくちゃ辛そうだし、【ソード10】に至っては絶望的です。

中川）【ソード10】の人物は死んじゃってますよねえ（苦笑）。さっきの大アルカナと小アルカナの相違点の例が、ここに提示されています。【XIII死】は概念としての終末で、【ソード10】は現実的な死を表します。現実的な死といっても、占いにおいては大概の場合、プロジェクトとか人間関係とかの終焉を示します。

逆位置では意味合いが好転しますが、「苦しい経験をした、底を打った、後は這い上がるのみ」という感じで、辛い目に遭うとのステップは避けられない。

インタビュアー）【ワンド10】はというと、腰に激痛という印象です。目指している赤い屋根の家までは、かなりの距離が残っています。

中川）明らかに抱え過ぎですよね。この人は絶対腰をやられると思う（笑）。生活一般の占いでこのカードが出た時は、「腰や背中に注意してください」と相談者に伝えます。
重荷を抱えている相談者に「頑張って進んでください」と助言するか、「可能なら1、2本降ろしませんか」と助言するかは、占いで出たカード全部を検証して判断します。

逆位置では「数本落としてしまう」、つまり「全部は達成しない」だけでなく、「他者からの被害に遭う」とも読みます。誰かの悪知恵のせいで、新たに数本押し付けられてしまうということです。既にいっぱいいっぱいなのに、余計に押し付けられてはあんまりですね。

インタビュアー）翻って【カップ10】は、文句なしの家族愛の暗示ですね。

中川）見ての通り、文句なしの家族愛です。虹は祝福を表しています。
逆位置は、さほど深刻に受け止めなくて大丈夫です。家族の絆が薄まるとかぎくしゃくするといった程度で、家族の離散や崩壊とは読みません。深刻なケースだったら、【ソード10】正位置か【XVI塔】が出るはずです。

インタビュアー）そして、【ペンタクル10】も余裕でハッピーという印象です。占いでこのカードが出るととても安心します。

中川）金銭的繁栄はもちろん、一族一門の揺るぎない安定も示します。他のカードと比較するとわかるでしょうけど、このカードには飛び切り多くシンボルが描かれています。
アーチは次の世界への入口を表します。奥には二棟の立派な建物。人間は老若男女四人。犬好きの方々には申し訳ないんだけど、ここでの犬は財産を示します。老人の着ているローブは葡萄の柄で、富の象徴です。壁にはタペストリーがかかっていて、赤いものは竪琴で、天秤もあります。後方左側は荒れた山だけど、右側には林が見える。

逆位置が表すのは、富の不安定感や損失です。描かれているシンボルが多い分、失うものも多い。

インタビュアー）【カップ10】と【ペンタクル10】正位置は文句なしに嬉しいし、【ワンド10】正位置も無事到着でめでたいし、【ソード10】だって逆位置であれば、あとは上昇するのみとのお告げだから、やはり【10】は高揚感を与えるカードなのでは？

中川）もちろんそうなんだけど・・・。占いの最終結果でそれらのカードが出ても、「肯定的な状況が未来永劫約束されます」とは言い切れない、と覚えておかないとね。

インタビュアー）そうなんですよね・・・。「肯定的な状況が未来永劫約束されるとは言い切れない」とは、実は他のカードも全部同じなんだけれど、【10】はゴールを示すと知っていると、「その後皆は幸せに暮らしたのでした、めでたし、めでたし」と思いこみたくなるのかも。

中川）【10】で肯定的な結果を得たら、素直に喜んで、でも次なるチャレンジが待っていると意識しながら、前進して行ってもらいたいです。

2022年6月24日　横浜関内占いマクトゥーブにて