対談・ペンタクル3
今回のお題は「ペンタクル3」です。

永坂)【ペンタクル3】が出ました。これは昔から先生が好きなカードですよね。背景は、不安を暗示する色という黒が占めていますけど。
中川)うん、背景は真っ黒だけど好き。絵柄を説明すると、新人の大工がレンガを一つ一つ積み上げて教会を建てて行っている。土地と資金を提供してくれるスポンサーと聖職者が横にいる。手には設計図。占いの際に相談者を示すのは大工ね。
永坂)これに漫画のひとコマみたいに台詞を付けさせてください。神父さんが「どうだい、工事の進み方は?」と尋ねて、大工が「順調に進んでます!ご期待に添えられるよう、頑張ってます!」といったあたりですか?
中川)そうね、不安げな感じは見られないからね。ほぼ教会は出来上がっているんだ。あと少しというところ。
永坂)不思議に思うんですけど、不安はないのにどうして背景は黒いんでしょうか?単に黒いではなく、漆黒ですよね。
中川)う〜ん、これをどう解釈するかにはいろいろあってね。不安だから黒というだけじゃないんだな。黒という色は霊的な向上といった神秘性も表す。黒いものが外される時は、何かが一気に向上する時。そう考えてみない?
永坂)協力者の皆さん、楽しみに待っていてくださいね、ですか。
中川)そう。「まだ先は見えないけど、楽しみに待っていてね」と。この黒の向こうには色鮮やかなステンドグラスが輝いているとか。そんな教会が出来上がっていたら、嬉しいじゃない。
永坂)あえて途中経過は見せないで、完成の暁には「ジャジャーン」とお披露目するんだと。
中川)協力者が登場するカードは、他に【ワンド6】【カップ3】もあるけど、【ペンタクル3】の協力者は専門性があると捉えてほしい。

永坂)聖職者がいなければ教会は機能できないし、潤沢な資金がなければ建物は建たない。この手前の人物はパトロンで、プロジェクトはこの方のおかげで成立するのですよね?
中川)そう言えばさ、話は逸れるんだけどさ、近頃の日本の金持ちは、どうして社会に貢献しないんだろう。昔の成功者は美術館を建てたり、学校を建てたり、コンサートホールとか、大規模な物を建てたよね。今の金持ちのお金の使い方はちょっとナンだな、と【ペンタクル3】を見ると思うのよ。
永坂)月へ旅行したいとか、ロケット打ち上げたいとか、自分の目標に向かって突き進むのが流行りですから。イーロン・マスクだって、「火星を侵略するぞ」という文字が入ったTシャツを着ています(苦笑)。シャツだけで済んでもらいたいですけど。
一方で、大規模な寄付行為をするビルゲイツというのもいます。利益の桁が違うから何とも言えませんが、今の日本のお金持ちには、ゲイツと比較して「足元にも及ばない」という表現すら相当しないでしょう。
中川)理想は抱けても、庶民はいくら頑張ったって大規模な建造物をつくれないんだから、それができるのは王族や大金持ちといった人たちだけなんだから、現代の日本のお金持ちには、先人を見習って、もっと社会のためになるお金の使い方をしてもらいたいなと思う。

永坂)そう考えると、日本では【ペンタクル3】は時代錯誤なカードなんだ、残念なことに。
中川)あ、そうだね。それは言えるかもしれないね。社会に貢献するという考えを持つのは、時代遅れなんだかもしれない。
あと、このカードで一つ解けない疑問があるんだ。この中心部に五弁の花が描かれているでしょ。この五弁の花は【ペンタクル3】と【大アルカナ・死】にしか描かれていないんだ。

永坂)【死】には大々的ですが、【ペンタクル3】の五弁の花はすごくさりげなく描かれていて、ちっとも気づいていませんでした。
中川)これがここにある理由がわからないんだ。想像もつかない。花の種類もわからない。象徴学的にはいろいろ意味があるんだけど、俺の感性にぴったり合うものには巡り合っていない。この2枚の共通性もまったくわからない。
もう一つ言うと、ペンタクルのコインのマークが描かれている人物の頭上にあるというのも、【ペンタクル3】の特徴なんだ。
永坂)頭上なら、ハイアーパワーが絡んでいる?
中川)そうかもしれない。パメラさん(このカードのイラストレーター)は、何かの思いを込めて、この三つのペンタクルのマークを人の頭の上に描いたんだろうとは思うけど、確証に近いものは何ひとつ得られない。
最近、ChatGPTには、「あなたはパメラさんです」とか「パメラさんの一次資料だけを参考にして答えてください」とか要求して、話し合いに臨んでいるんだ。
永坂)それはChatGPTにとっては想定外な切り込まれ方でしょう。先生は、大切なお友達を慌てふためかせていません?
中川)かもね(笑)。タロットの研究は欧米の方がずっと進んでいるから、向こうの資料を翻訳して読める今の時代は本当にありがたい。言葉の壁に阻まれずに勉強ができる時代が来たんだ。
永坂)今年は「五弁の花の存在意義」と「五弁の花を巡る【ペンタクル3】と【大アルカナ・死】の共通性」に何らかの決着をつける年にしましょう。年末の対談で伺います。
2026年1月 横浜マクトゥーブにて