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対談・カップ2(再び)

今回のお題は「カップ2(再び)」です。

永坂)今年5月に取り上げた【カップ2】がまた出ました。選び直してください。

中川)いや、あのね、このままで行きましょう。同じカードをまた取り上げたくはないんだ。理由はというと、卜占の基本として「同じことを二度占わない」というのがあってね。

初筮(ぜい)は告ぐ。再三すれば涜(けが)る
易経(山水蒙)より。

不本意な結果が出たとしても、同じ占的を占い直してはいけない、というもの。占いに対する基本的な心構えです。それに従いたい。

 

永坂)「誰々さんと結婚にこぎ着けたい」と占って、諦めた方がいいといった結果が出た、相談者はひどくがっかり、でもだからといって占い直してはいけない、という心得ですね。

中川)「気に入らないからやり直すという行為は占いの道に反する」、と僕は考えます。世界中の占い師が全員同じ意見かはわからないけど。
だからね、ここでも「今月のインタビューのために1枚」と念じて引いたのだから、引き直しはしないんだ。本当の占いではなくてインタビューだから、そこまで厳しくするものどうかと思わなくもないんだけど、長年タロットと向き合ってきた者として、やり直しはしたくない。今回も【カップ2】を取り上げます。
永坂)【カップ2】は前回かなりしっかり語ってしまいましたが、どうしましょう。

対談・カップ2

中川)数年間あいていたなら、付け足そうと考えていた新しい発見や解釈があるかもしれないけれど、この春のだから、足すものはないね。

永坂)このカード自体がとても素直で、こねくり回すというか、斜めから裏から眺めて引き出されにくいメッセージを引き出す、といった隠れ技は見つけられなさそうです。

中川)【カップ2】は、世界で分断や対立が起こっている、今の世相に「真っ当な対話をしなさい」警告をしているとの感があるよね。

永坂)そう持ってこられると、対話が進まないロシアとウクライナとか、分断が続くアメリカとか、言いたいことが多々浮かんでしまいます。けれどここでは世界情勢を占って【カップ2】が登場したのではなく、インタビューのお題を得ようとしたわけなので、話を逸らしてはいけないのですね。軌道を修正します。

 

中川)このカードが示す、「自分の感情を率直に表し、相手の感情を尊重し受け取る」とメッセージは、組織でも個人でも基本中の基本。

永坂)【カップ3】も人間関係を重視するカードですけれど、ここには調和というキーワードが伴います。

調和となると、一種の駆け引きというか、妥協といった要素が含まれるものですよね。妥協が素直と相容れるかどうかは言い切れません。あえて意地悪な指摘をすると、「ここではあの人と仲良くしておこう」といった打算も含まれる。
【カップ2】を野球の投球に例えると、ストレートの一種類だけという具合ですかね。【カップ3】はカーブもフォークもスライダーも選ぶけど、【カップ2】は、直球のみで勝負。

中川)そうだね。両方ともストライクを取るのは必須。違いは球種をどうするか。
どうして今回【カップ2】が出たかを考えましょう。インタビューのテーマをどうするとタロットに尋ねたら、このカードが出た。
なぜ出たかというと、偶然なんだ。56枚のカード(注・この対談の議題は小アルカナとコートカードに限定)があって、正位置逆位置があって、112分の1の確率で【カップ2】正位置が出た。
最近僕はね、「すべては偶然である」という考えにハマっています。すべてが必然であるとするならば、世の中あまりに悲惨なことが多すぎる。

 

永坂)「偶然に見えるけど必然」ではなくて、「必然に見えるけど偶然」だと。うわああ。これだけで長々対談できそうです。

中川)「その偶然とどう向き合うか」が、我々に問われているんだと思う。

 

永坂)【カップ2】が目の前にあるのだから、素直に向き合え、と。

中川)はい、だから今日は【カップ2】と素直に向き合う。それが我々に問われているんだ。だから「君子再筮せず」にこだわるんだ。

永坂)今後、カードによっては二度三度と繰り返し出てくる可能性はあって、そうなったらこの対談はどうしたらいいんだと頭を抱えながら、このインタビューを終了といたします。

2025年9月 オンラインにて

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