リーダーの資質
Q. リーダーの資質について、伺います。
A.いやあ、難しい話題が来たな。うーん、すっごい難しい。
Q. あえて先生の興味の薄いエリアに踏み込んでみました。
A.その通りですね(苦笑)。
子供の頃からずっと、学生時代もそうだし、社会人になっても、放浪の時代も、リーダーシップとは無縁ですからね。
現在は幾つかの団体でボランティアとして活動しているけれど、それも大勢のうちの一人としてであって、リーダーとしてではありません。
Q. とはいえ、占い師というのはリーダーの一種ではありませんか?
A.まあそうなのかもしれませんね。教師とかもそうですが、占い師は接客業の中でもお客様と対等に向き合うのではない商売です。
お世話するというより導くわけだから、大きな括りではリーダーシップを発揮していることになるのでしょう。
Q. 最近は「組織の上層部」のスキャンダルだらけですが、最も興味を惹かれたのは?
A.日本ボクシング連盟の会長かな。ああいう人物が長期にわたって組織を率いていたとは、「長いものには巻かれろ」と典型例という印象ですね。巻かれた方が楽だし楽しいし、利権も入るし。
タロットには悪魔というカードがあります。
描かれているのは、悪魔に繋がれている平気な顔をしている男女。繋ぐ鎖は緩いから痛くはない。だから頑張って断ち切ろうとはしない。断ち切るには努力が要るもの。そんなきつい思いをするより、繋がれて半分悪魔になっている方が楽だから、そうしている。
意識の差こそあれ、ボクシング連盟でも日大でも他でも、不正を横行させるリーダーの側近という人達は、そう過ごしてきたのでしょう。
タロットでリーダーを表すのはワンドの3というカードです。真のリーダーシップは孤独なものと定義づけられています。
Q. リーダーの資質が無い人ほど、忠誠を誓わせるべくあからさまに餌をばらまく?
A.そういうところでしょうね。けれど人参をちらつかせる(注・馬の鼻先にという例え)という方法自体は間違ってはいないですよね。
宗教家であれば極楽を説くし、運動部の監督はメンバーを振り分けるし、利益追求の場では、出来高払いという方法が使われる。人は、人参をちらつかされれば飛びついて行くものです。
道理にかなった形で人参をちらつかせるのであれば、良いのです。全く人参なければ人は動かないもの。
ソ連のコルホーズとかソホーズ(注・社会主義的農業形態)とか、明らかにそうでした。ただし長期に渡ると権力は必ず腐敗して行くものだから、長く権力を持ち続けることは大いに危険ですね。
Q. 日本人は従順過ぎるとも言われていますが?
A.前にも言いましたが、人間は猿の親戚だから、ボスのいうことを聞くというのは絶対なのだと思います。
ボスがどんなに理不尽であっても、目の前の出来事で短気を起こしては、ゆくゆく自分の生存をおびやかすことになるという推測は、DNAに染み付いているのでしょう。そういった本能的な認識は、どの文化に属していてもそう違わないでしょう。
Q. リーダーシップには名誉がつきものです。
A. 名誉は皆欲しいでしょう。出世したい。名誉の為に少々の不正に目を瞑るということも起こるでしょう。
勲章制度の無い国家って多分ないじゃないですか。そして勲章の中にも階級がある。俺はこれこれを貰ったけど、あいつはどれどれを貰った、とか威張ったり文句を言ったりする。
勲章制度もひとつの人参ですね。
Q. 理想とするリーダーは?
A.好きなリーダーは・・・いません(苦笑)。
無私が理想ですけれど、実際そんな人はいないもの。リーダーは名誉とか権力とか財とかに結びつくのが当然だから、そうなるとおかしくなっちゃうというのはよくわかります。
占い師は技術を磨くだけでなく、無私を目指して欲しいと思っています。僕自身は、無私の境地まで行けたらいいな、そのような占い師を育てられたらいいな、と願っています。
2018年8月24日 秋葉原マクトゥーブにて