極寒シベリアの旅
Q. 寒さが超厳しい先月中旬、シベリアのハバロフスクへ、一体何をしに行かれたのでしょうか?
A. それをよーくきかれます。いろんな人によーくきかれます。
名目は「気を取り入れるための旅行」です。第一に外国に行きたかった。しばらく外国に行っていなかったので、外国に行きたかった。
今年の二黒土星(注・先生の年回り)の吉方位は北・南・東の三つなので、最初は東に行くつもりで、ハワイに行こうと計画しました。けれど二月は日本の大学生の卒業旅行のシーズンと重なっていて、すでにハワイは売り切れ。
で、行くのは北か南かと占ったら、北と出た。
北の外国といったら、シベリアしかなかった。
ハワイに行けると信じていた妻に行き先をハバロフスクに変更したと言ったら、怒鳴られた(爆笑)。でもついて来ました(苦笑)。
Q. ツアーで行かれたのですか?
A. 飛行機とホテルだけ予約してあるツアー、いわゆるフリープランというやつでした。
僕達だけではなくて、他にも日本の人は結構いました。ソビエトに抑留されて亡くなられた方々の墓地があるから、その参拝の方もいらしたし、他に大学院生といった研究者みたいな若者が四、五人。
Q. ハバロフスクはどんなところでしたか?
寒い(爆笑)!
アムール川はばっちり凍っていて、冬は川の上を歩けるようです。僕は歩かなかったけれど、氷の上に足跡はたくさんありました。
見るところは美術館と、ロシア正教の教会が二つ。
あとは市場とか街をぶらぶらしていました。市場では凍った魚が路上にどーんと置いて売っていたけれど、屋外は氷点下だから全然溶けない。野菜類もあったけれど、ドライフルーツが多くて、色とりどりで綺麗でした。
物価は日本とあまり変わりません。辺鄙な土地だから、物資の輸送費といった事情でそうなってしまうのでしょうね。
旅行者が行くレストランで夕食を食べて、一人5千円程度でした。食べ物は全体的に薄味で繊細で、「シベリアはヨーロッパの一部だ」と実感しました。
洗練されていて、おしゃれ感がありました。コーヒーは濃いめで、チョコレートといったスイーツなんか特に繊細な味で、ヨーロッパっぽい感性でしたね。
英語は全く通じません。街中の看板はロシア語だけ。
寒い土地だから窓が小さくて、建物の中の様子が見えない。だからお店が何屋さんかわからない。
コーヒーというロシア語だけわかって、「ここは喫茶店だな」と見つけるわけです。そしてコーヒーとスイーツを楽しんだ!
出会った人は皆感じよかったです。街の人もキオスクのおばちゃんも親切、空港の職員も官僚みたいな感じはなかったし、ウェイターウェイトレスもフレンドリーでした。
Q. 夜は退屈だったのでは?
A. 退屈でしたね。退屈するのも旅の目的と思って行ったから、それで全く構わなかったです。
ホテルの近くに夜やっているアイススケートリンクとか公園があって、ぶらっと見に行ったりしました。
Q. 雄大なシベリアの大地で、どんな思いを巡らせていらしたのでしょう?
A. 寒いなあとか、はるばる遠くまで来たなあとか、とうとうシベリアまでも嫌煙運動の波に飲み込まれてしまったのだなあ、とか(大爆笑)。
ホテルは全面禁煙で、禁煙室がない!だから煙草を吸うたびに屋外に出なきゃいけないのです。マイナス20℃の屋外に!
シベリア鉄道の駅を訪れた時に、「若い時にこれでヨーロッパを目指すことも出来たんだな」との思いを抱きました。
昔も今も、お金のない若者は陸路を使うわけです。若かかりし頃の僕はインドから陸路でヨーロッパを目指したのだけれど、個人的な理由やら中東の戦争といった事情やらで、結局途中で止めてしまいました。
今回はシベリア鉄道を眺めるだけだったけれど、いつか乗ってみたいです。
Q. 三日間という日程は、相応の長さでしたか?
A. もう一泊くらいしたかったですね。けれど飛行機が無いのです。毎日飛ばないという飛行機の事情があって、二泊三日になってしまった。
Q. 奥様のご見解は?
A. 「なんでこんなところに来なきゃいけないのよお」ってぶつぶつ言ってました。
日本に帰ってからも、「なんでこんなところに行かなきゃいけなかったのよお」って(苦笑)。
Q. 旅の最高の経験は?
A. アムール川の向こうに沈んで行く夕陽を眺めたこと。綺麗でしたねー。
それから、美男美女が多かったこと。美男美女が本当に多くて、眺めているのが楽しかった。これは女房もすごく喜んでいました。
Q. 最悪の経験は?
A. 膝や腰が痛くなったこと。歩道がアイスバーン状態で、しかも坂道が多くて、足下の装備も甘かったせいもあって、何度も滑って転びました。
一生懸命踏ん張って歩いていたら、あちこち痛くなりました。スパイクがついているような靴にするべきだったかな、と思いました。
Q. では次回の極寒シベリア旅行の際は、そのような万全の装備でお出かけください。
A. 11月にまた行こうかな、なんて考えています。今年の吉方位ですから。
2016年03月05日 秋葉原マクトゥーブにて