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タイムマシンの旅

Q. タイムマシンに乗って会いたい人に会いに行くという案はいかがでしょうか?
A.タイムパラドックスは大好きです。子供の時から読んだり思い浮かべたり、とっても大好き!

Q. さしあたって何処へ?
A. まずは誰に会うってことではなく、大正時代のデカダンスな浅草あたりに行ってみたいです。
浅草十二階(明治時代に建造された十二階建のビル)のあたりで酒をかっくらってみたい。まだ大人も子供も大勢が着物を着ていた頃、爛熟な文化の時代ですね。そこで酒を飲む。それだけ(爆笑)。

Q. 人にも会ってください。
A. ありふれているかもしれないけれど、聖徳太子に会ってみたいです。最近は昔から皆が知っている肖像画と違うらしいという説も浮上しているから、肖像画通りの顔をしているか、ぜひ調べたいです(笑)。
あとは言われている通りの仕事を本当にしたのか、七人の声を聞き分けられたのか、とか。

文学界から選ぶとしたら石川啄木ですね。僕は多分中学一年生の教科書で啄木と出会って、それ以来結構ハマって、「一握の砂」や他の歌集もそうだし、全集で彼の小説とか、あまり世間で知られていない作品も買って読んでいました。
岩手の啄木記念館とか函館とか、彼の足跡を追ったこともあります。 啄木に惹きつけられるのは、彼が生涯様々苦しみながら生きていたところでしょうね。歌人として才能はあったけれど、最初に彼がなりたかった小説家としては陽の目見ないで終わってしまった。それも苦しかったはずです。
「一握の砂」の発表は彼の死後だったはずです。 啄木に会うとしたら、あえて彼があまり好きではなかった小樽の街、港のあたりがいいかな。冬の海辺、冷たい波がザバーンというところで軽く立ち話、なんてね。

Q. 三人目はどなたにいたしましょう?
A. ホモサピエンスの初期の人にすごく興味あります。あの時代はホモサピエンスとかクロマニヨンとかジャワ原人とか北京原人とか、人類に近い動物はいっぱいいたらしいと言われています。
最近の遺伝子の研究によると、ホモサピエンスとクロマニヨンは結構交配していたと。けれど、なぜホモサピエンスだけが残ったのか不思議ですよね。
だから彼らに会ってみたい。暮らしを覗いてみてみたい。髪がぼさぼさで獣の皮を着てといった、現代人が描いた想像図通りだったか、何を食べていたのか、彼ら同士がどんな方法でコミュニケーションをとっていたとか、とても気になります。
観察したい。これは訪問ではなくて、結構な長期計画だな。

Q. 音楽的な好奇心を満たすには?
A. ロンドンまで行って、初期のピンクフロイドのライブを見てみたい。
まだシドバレットが活躍していた頃。バンドはメンバー次第で空気感が変わるでしょ。だから、ひとつのバンドでも「いついつの時代」と分けて考えないと。

Q. タロット関係からはいかがでしょう?
A. ウェイトさん(アーサーエドワードウェイト:「ライダーウェイト版タロットカード」の作者、)よりパメラ(パメラコールマンスミス:「ライダーウェイト版タロットカード」の画家)さんは会いたい!
ウェイトさんは偏屈なオヤジといった印象があるけれど、パメラさんは悟っている人だと思う。仏陀と同格だと思う。あの人は涅槃に入っていると思う。
仏陀に近くなければ、あのような絵は描けないと思います!

「審判」のカードの絵をひとつの例として挙げましょう。一般の人は棺から蘇る人物に自分を重ね合わせようとするのだけれど、彼女は「天使と自分を重ね合わせなさい」というメッセージを送っているわけです。

これはひとつの菩薩道だと僕は思うのです。慈悲です。仏陀の感性です。
パメラさんに会うとしたら、春か秋の午後、イギリスの彼女の家を訪問して、紅茶でも飲みながら過ごす。「(カップに注ぎ入れるのは)ミルクが先か紅茶が先か」なんて他愛ないところからスタートして、涅槃にいる感性の彼女とふかーい話をしたい!

Q. 未来には興味ありませんか?
A. あります。未来へ行って、AI(人工知能)の進化を見てみたいです。
未来では、人工知能が人工知能のプログラムを書くようになるのです。人工と言えなくなる。そうなると人間が追いつかなくなってしまうというわけです。

先日も、アルファ碁(コンピューターの囲碁プログラム)が人間の棋士を完全に負かしちゃったじゃないですか。
最近僕は、碁に似た新しいゲームを考えたんです。二次元の碁を三次元に造る。
上下、左右、斜めで囲める碁です。なおかつそれに時間をプラスする。「一定の時間が経つと、石の効力が薄れて消えてしまう」というルールを加える。これは四次元ゲームです。
そうなると複雑すぎて人間は太刀打ち出来なくなり、AIとAIが戦うことになる。Aさんが作った人工知能とBさんが作った人工知能の勝負、ですね。そのゲームを、「ほぉ〜」とか「はぁ〜」とか感心しながら観戦したい!

2017年5月30日 秋葉原マクトゥーブにて

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