1. HOME
  2. インタビュー
  3. 宗教観とハイアーパワー(Higher Power)

宗教観とハイアーパワー(Higher Power)

Q. 占い師にとって宗教観は必要なものと思われますか?
A.特定の宗派に入っている占い師もいますし、そうでない人もいます。
必要かそうでないかと尋ねられれば、宗教観は必要でしょう、と僕は答えます。

全くの無神論者であったら、占いに興味を持たないと思う。
なぜ今の世界がこのように創られたといった探究心を抱いたり、何かの存在が創ったのかと仮定したり、といった考えを持たない人や、自分より偉大な力に敬意を表さない人は、占いに興味を向けないと思います。

Q. 先生ご自身はどのようなスタンスでいらっしゃいますか?
A. ごく普通の日本人の感覚ですね。特定の宗派には入っていないです。
正月には神社に行くし、毎月1日と15日には神社に行くし、お水取りにも行くし(注・お水取りについては先月のインタビューをご参照ください)・・・あ、だから神社に参拝する回数は普通の人より多いか!

法事の時はお寺さんへ行く。 綺麗な教会があったらそこへ行く。
世の中の人は知らないかもしれないけれど、教会はお御堂(おみどう=聖堂=礼拝堂)を解放しているところもあるのです。
山手とか鎌倉の教会へ行って、お御堂に入ってじいっと静かにするのは好きです。
別に祈りもしないのだけれど、じっとして、キリスト教の神様とちょっと寄り添う時間を持つ。

Q. そのような行動を、同業者やお弟子さんに勧めますか?
A. 勧めます。 ハイアーパワー(Higher Power)と僕は呼んでいる「自分より偉大な力」を感じるために必要なことだと思うから。

Q. ハイアーパワーは「神」と言い換えていいのですか?
A. そう言い換えるしかないのでしょうね、他にないからね(苦笑)。
ただ、唯一絶対の「神」ではなく、一人一人個人の「神」です。
それに生かされている、導かれている、と信じているなら、それを感じに行くのは大切です。

Q. 先生は霊能者ではない?
A. もちろん違います。 自分のもそうだけど、背後霊も守護霊も見えない。
瞑想の中で幻のようなものは見ることはあるけれど、観音様が見えたとかはないです。
宇宙人に語りかけられたことも、ご先祖様とかもない(笑)。

けれど、一度だけ、声を聞いたことはあります。 占い師になる前ですが、古着の販売をやっていた頃、正確に言えば古着屋をやっていて行き詰まっていた頃、ひどく悩んでいました。
40ちょっと過ぎという中途半端な年齢で、今更会社勤めに戻るのも無理だろうし、じゃあどうすればいいのかと真剣に悩んでいた時、耳の後ろで中性的な声で「占い師!」って聞こえたんです。
一度だけ「占い師!」って。 占いは好きだったけれど、占い師になろうにも何も知らない。でもその声に従って教えを請いに行き、そして占い師になったんです。

Q. それはハイアーパワーの囁きではないかと?
A. そう信じています。そのような経験はその時のそれ一回きりだけれど。 それ以降そんな経験は全く無いですねえ(笑)。

Q. 「占い師!」との声を聞いた時の光景を教えてください。
A. 家にいました。
夜遅くで、妻は寝ていて猫は静かにしていて、僕一人で起きていた、ごく普通の日常のひとコマ。 神棚の前にいたでもなく、「神様、僕はどうすればいいか教えてください」と問いかけていたわけでもない。
水垢離(みずごり:神仏に祈願するため、冷水を浴びて体のけがれを去り、清浄にすること)とかをした瞬間でもなく、窓の外は大嵐だったわけでもなく。

「占い師!」との言葉はすうっと入って来ました。「そうか」って瞬時に納得しました。
こういう事って、必要な人には起こるのだと思います。

Q. 人生は事前にプログラミングされているもの、とお考えですか?
A. 事前にプログラミングされているという宿命論しかないのか、そこから外れることは出来ないのか、という点について僕は意見を持ちません。
わからないもの。わからないから言わない。

Q.「ハイアーパワーを信じましょう」と相談者に助言なさいますか?
A. しません。
その人が必要だったら、その人が自分で気づくのでしょう。
占いの途中で、「これは人間の力ではなく、人間の力を超えた存在の導きなのでしょうか、そう信じるのが良いのでしょうか?」と尋ねられたらうなずくでしょうけれど、自分からは言わない。

Q. ハイアーパワーの存在を口にしない?
A. そう、言わない。
それは宗教家の仕事であって、占い師の仕事ではない。
「何かのお導きか」と尋ねられれば「そうでしょうね」と答える、それだけ。

Q. 占い師がハイアーパワーを活かすとは、どうあるべきでしょうか?
A. 活かして結びつけるのは、日常生活レベルでのことです。 仕事は誠実にやればいいのです。
好き嫌いを含まず、素直にカードを読む。占い師の根底にあるべきことです。
意識もせず、信仰について語らず、誠実に謙虚に占いをする。
タロットを誠実に読むことが、ハイアーパワーの意志にかなうことなのだろう、と思って過ごしています。

2015年10月2日 秋葉原マクトゥーブにて

インタビュー

インタビュー一覧