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大アルカナのカード:【Ⅴ 法王】

インタビュアー)前回の「俺がルールブックだ」的な【IV皇帝】とは異なり、今回の【V法王】は威厳があっても柔和な顔立ちで、穏やかな印象ですね。必ずわかってもらえそう、あまり緊張せずに対話出来そう、といった感じがします。

中川)いわゆる常識人です。伝統的、常識的に行動することを要求しています。【Ⅴ 法王】も【Ⅳ 皇帝】も、信条のまっすぐさは同じだけど、【Ⅳ 皇帝】は俺様感覚で、ちょっとおっかない、怒らせるとまずいといった存在。【Ⅴ 法王】は許容度が高い。近づいても大丈夫です(笑)。

インタビュアー)絵柄の説明をお願いします。

中川)【Ⅴ 法王】は神殿に座っていて、手前に僧侶が二人並んで向き合っています。衣装には清純さを表す白い百合と、情熱を表す赤い薔薇が描かれています。
【V 法王】と僧侶の間には、鍵が二つ。天国を開け閉めする鍵と解釈されています。もともとキリスト教の影響が強いタロットカードの中でも、【V 法王】は宗教的な色味が強い一枚です。右手の指の組み合わせ方は、祝福を表します。大いなる力が僧侶たちを祝福しています。

インタビュアー)先程も触れたましたが、このカードは厳しく戒めるといった空気感は無く、伝統的、常識的に行動することを求める一方で、逆位置になっても、非常識といった強烈さはありません。

中川)【V 法王】は世の中と歩調を合わせるよう導きます。占いで鍵として正位置で出たら、「伝統的常識的に動きなさい」と捉えます。「世間の人が眉をひそめるような行動は慎みなさい」とも受け止めます。

逆位置では「良くあるパターンとは違う行動や選択をしなさい」といった程度です。常識を超える、ものすごく斬新な手法をとる、ぶっ壊す、といった極端なニュアンスは含みません。極端さを求めるのだったら【XVI 塔】が出るはずです。

具体的にあげると、病気の治療法を占っていて結論に【V 法王】が逆位置で出たら、主流ではないものを選択することになると理解します。結婚だったら、事実婚、国際結婚、格差婚、年齢が飛び抜けて離れている組み合わせ、一部の反対者が出るとか。

インタビュアー)一部の反対者が出るとは、祝福されるか否かという点に言及しているのですか?

中川)そうね。祝福は【V 法王】のみが持っている要素です。

「結婚できますか・起業できますか」の相談に【I 魔術師】や【VII 戦車】でも【XIX 太陽】でも正位置だったらYESですよね。でも周囲から祝福されるかされないかは、これらに示されてはいません。
【V 法王】正位置はYESというメッセージと共に、祝福の意を含みます。逆位置だと、出来るというメッセージは変わらないものの、一部に反対者が出るといった違いが生じます。

インタビュアー)【V 法王】には、「教育」との二つ目のキーワードがありますが、これが「常識」とがどう同調するのか、少し懐疑的です。

中川)常識と教育は矛盾しません。常識を学ぶには教育が必要でしょう?接する相手の身分地位に対して対応や口の利き方を変えるとか、人はそうそう勝手に身につけるわけではなく、親なり周囲なりから繰り返し教わらないと出来ないのだから。そして習ったことを受け継いで行く。

インタビュアー)この人物が発する伝統や常識というメッセージに対して、特に着目すべき点はありますか?

中川)伝統とか常識に保守的とか古臭いというイメージを当てはめてはいけない、と僕は思います。人間は生まれたら死ぬでしょ。それは伝統であり常識でしょう。善悪や時代による違いはないわけです。そこがポイントです。

「常識的に動きなさい」と告げられた時、それを「昭和っぽい」とか「周囲に迎合する」と捉える、逆位置の「非伝統的」を「独創的」とか「時代に合っている」と捉える、というのは間違いです。

インタビュアー)つまり【V 法王】が提示する伝統や常識とは、極めて無機質なものである?

中川)その通り。無機質。情(じょう)が絡んではいけない。普通に暮らしていて、伝統とか常識に対して好きとか嫌いとか古臭いとか、ついつい自分の感情を入れてしまうじゃないですか。占いにおける【V 法王】のメッセージは、感情を外して捉えるものです。

【V 法王】が示す常識を持った行動とは、純粋に行う、あるいは情熱を持って行う、のどちらかなのです。

2020年8月29日 秋葉原マクトゥーブにて

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